MOE――召喚(め)しませ!乙女なえいたんご

【ネタバレ注意】

f:id:kuronosuke00:20151213224427p:image

あらすじ
 
「死ね。爆発しろ」そう毒吐く彼女の名前は、explode。固有のAIを備え、美少女に擬人化された“英単語”。それが彼女の正体。ヴァーチャルリアリティのMMORPGゲーム『えいたんご☆ますたあ』世界における屈指の人気キャラクター。設定年齢は11歳、子供っぽくて、ちょっとだけ焼きもち焼き。能力は「爆発」。要するに、僕の嫁だ。ああ、どんな単語より、お前が一番可愛い!だけど彼女はまだ誰も手に入れていない、超レアキャラ。explodeの単語を入手できる超難関クエストが立ちはだかる!召喚された少女の能力と己の英語力を駆使して戦え!萌えて英文法に強くなる、素晴しきMMOライフへようこそ!
 
 
【ネタバレ注意】でお願いします。
 

 

 
 
 
今、流行の擬人化ゲーム。本作では英単語がそのターゲットに。
そして、またもや流行のヴァーチャルリアリティのMMORPG
この二つを作者の趣味により魔改造されたのがこの作品であります。
 
期待してた通り、メチャクチャ面白かったです。
 
表紙、タイトル、あらすじからは巧妙にカモフラージュされてますが、怪作のにおいがぷんぷんとしてました。だってこの作者だし。
 
話の流れとしては、MMORPGで擬人化された explode の単語を入手するクエストを進めていくんですが、そのクエストの謎解きというのが暗号解読。なんという俺得。その暗号解読というのがなかなか凝っていて、どうでもいいような日常会話にもヒントがあったりして、違和感なく謎が解かれていきます。消音文字の伏線はすごく良かった。
 
第1章では explode の顔見せとゲームの設定説明等があり、それ以降ではクエストの目的上、 explode の出番があまりないわけですが、そのことが主人公の心情と共感させ、早く explode に会いたいと思うようになり、ページを繰る手が進むのはにくい演出だと思います。そして、読み進めていくうちに、暗号解読の虜になる、なんてのは見事に作者の掌で踊らされてるようで、分かっていても抗えない魅力が底にありました。
 
バトルには英単語が使われてて、
「・・・・・・言っとくが、hastenは他動詞の第三文型としても使えるんだぜ」
なんてセリフが真剣な戦いの最中に発せられて、主人公のボケやツッコミもあり、シリアスな戦いのはずなのに妙な笑いが。そして微妙に勉強になります。
 
それから、ゲーム内のプレイヤーの存在の正体に関してもミスリードがあり、最後まで飽きさせません。途中まで気づきませんでした。
 
設定、内容ともに非常に完成度が高かったので続編を期待したいのですが、いかがでしょうか。