東京レイヴンズ14 EMPEROR.ADVENT

【ネタバレ注意】

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あらすじ
 
『天胄地府祭』―東京の霊相を一変させる大規模霊災テロの決行日まで、あと3日。夏目たちは神降ろしを阻止しようと、あらゆる手を尽くして奔走。その一手は『十二神将』の間にも波紋を広げていく。一方、暗躍する大友、牙を研いでいた鏡らも、決戦の舞台にあがる準備を進めていた。そして訪れる、上巳の日。星々が、呪術の粋を尽くして激突する中、黒き鴉の羽を纏った春虎もまた、決戦の地に舞い降りる。夏目を守る―彼女の式神として。その強き想いを胸に。時を超える陰×陽ファンタジー、いま交錯する願いが東京の夜を震わせ、時の輪を廻し始める―。
 
ネタバレ全開で行きます。
【ネタバレ注意】でお願いします。

 

 

 

 

 

シリーズ屈指の盛り上がり。「天胄地府祭」が遂に決行され、敵も味方も入り乱れ、あの十二神将がそれぞれの思惑で動き出し、春虎が、夏目が、黒子が、相馬が、一堂に会する。ドでかい伏線も回収され、初っ端から最後まで鳥肌が立ちっぱなしでした。

いろんなキャラが出てきて、それぞれに見せ場があるから息つく間もない。読んでて、スゴく体力を消耗しました。

 

印象的なセリフが多数出てきたので、それをもとに振り返ってみます。

 

 

 

「さすがは老舗編集部のデスクだ。話が早くて助かるぜ」

「ーーオーケーだよな、編集長?」

 

序盤で夏目たちが手詰まりななか、見えた光明。事前に、「月刊陰陽師」が有能で、気骨のあるジャーナリストであることを期待するという流れがあってのコレ。編集長のレスポンスも、神扇・天海大善の返しも良い……! 大人がしっかりと活躍するというのがこの作品の魅力の一つだと思ってます。しっかりと責任を果たしてくれること、若者たちの背中を押してくれることの、なんて頼もしい姿だろうか。

 

 

「やはり、この件は、お前では話にならんな」

「……まずは、その告発を見てからだ」

「……やれやれ。これは……久しぶりの『最中案件』だな……」

 

今まででも言及のあった冬児の家族の問題。大物政治家である実の父親との取引。そこで得られる結果。冬児すげー頑張った! 今まで交流のなかった父親相手の渾身の交渉、それにより首の皮一枚繋がる結果に思わずガッツポーズを取るくらい嬉しかったです。ここでは、冬児の心情の描写しかされないんですけど、後々父親の方もこの時のことを振り返る描写があって、もうね、親子だなあって……。

 

 

「……と、言えば、お前は納得できるのか?」

「未熟者」

 

炎魔キターーー!! 十二神将の一人である炎魔・宮地磐夫、そしてもう一人、結び姫・弓削麻理。部下思いで、上司思いで、それでいてこうならざるを得なかった状況にため息が出る。最後の指導という形での叱責と敵対。ここの宮地の心理描写に思わず涙が出そうになりました。

 

 

「誰が、封印『だけ』斬れと言った」

「俺は、封印を斬れ、と言ってるんだ。構わないから、俺ごと斬れ」

 

鬼喰らい・鏡伶路が春虎と対峙し、冬児を鍛えた経験から至った境地。強さのために殉じるその覚悟。第一部では黒子・大友陣に一杯食わされ、春虎には逃げられてたあの鏡が、ついになりふり構わなくなったこのセリフ、熱くならないわけがない。

 

 

「果たして上手く行くかのう」

「ええ。得意分野ですんで」

 

黒子・大友陣の本領キターーー! 墓参りでの生徒の顔、講師の顔を見せてからの凄腕の元呪捜官へ。今までの春虎たちの講師としての飄然とした姿を知っているからこそ、蘆屋道満との呪術バトルを知っているからこそ、このセリフに込められた凄みが分かる。絶対何かやらかすつもりだこの先生!

 

 

「道満。確かまだ、術比べの貸しが残っていたはずだ。いま返せ」

 

なにこれ。カッコ良すぎる。

 

 

 

一個一個のセリフに魂が乗ってるんじゃないかと思うくらい痺れさせられた。

ああ、これが乙種呪術なのか。

 

これでもかというほどの大盛り上がり。でもこれ、まだ最終巻じゃないんですよね。

今回は呪術バトルの方は抑えめだったこともあり、ますますこの先に期待が持てます。

 

そして、次巻は過去編ということで。今巻で新たに分かった事実を踏まえると、非常に楽しみです。

それでは。